内装工事┃内装仕上げ工事の解説。建設業許可専門の行政書士が詳しく説明します。

内装工事工事業とは?

内装仕上工事業とは、木材、石膏ボード、吸音板、壁紙、たたみ、ビニール床タイル、カーペット、ふすま等を用いて建築物の内装仕上げを行う工事のことをいいます。

 

他の建築専門工事と関連の大きい業種です。
気になる問題をピックアップして回答していますので、現場での判断の参考としていただけますと幸いです。

 

内装仕上工事の具体例

下の表は内装仕上工事の具体例です。

インテリア工事
天井仕上げ工事
壁張り工事
内装間仕切り工事
床仕上げ工事(ビニール床タイル、カーペット等を用いて床仕上げを行う工事)
たたみ工事(採寸、割付け、畳の製造・加工から敷きこみまでを一貫して請け負う工事)
ふすま工事(ふすまを用いて建築物の間仕切り等を行う工事)
家具工事(建築物に家具を据付けたり、家具を現場にて加工若しくは組み立てて据付ける工事)
一般建築物の防音工事(ホールなどの音響効果を目的とする工事は、内装工事に該当しない。)

 

事例から考えよう!内装仕上げ工事

事例1
当方、内装仕上工事業の建設業許可を持っています。
請負代金2,000万円の新築工事を請負う事は建設業法に違反するのでしょうか?
回答
新築工事の請負は、原則として建築工事業(建築一式工事)の建設業許可が必要です。
ただし、以下のいずれかに該当する場合は建築工事業の許可は不要です。
  • ➀一件の請負代金1,500万円未満(消費税込)の建築工事
  • ➁請負代金の額に関わらず、延面積150㎡未満の木造専用住宅の建築工事
本件は➀には該当しません。
➁に該当するのであれば、建設業法に違反しません。

 

事例2
内装仕上工事の建設業許可を持っています。
今後マンション住戸や住宅をリフォームする仕事の受注を目指していますが、内装仕上工事の建設業許可のみで可能ですか?
回答
以下の回答は、大分県での取扱を説明します。
他県の方や大臣許可をお考えの方は、別途確認が必要です。

リフォーム工事の取扱い

リフォーム一式工事(例:クロス張替・間取り変更・空調機器新設・電気配線等新設等)は、大分県では建築工事業の取扱いとなります

ですので、原則として内装仕上げ工事ではリフォーム一式工事を請け負えません

 

例外的にリフォーム一式工事を請負える場合

次の場合は、建築工事業の許可が無くてもリフォーム一式工事を請負えます。

  • ➀リフォーム一式工事一件の請負代金が1,500万円未満(消費税込)のとき
  • ➁請負代金額に関わらず、延面積150㎡未満の木造専用住宅のリフォームのとき

リフォーム一式工事を受注する場合、上記要件の確認をお願いします。

 

事例3
発砲ウレタン吹き付け工事に必要な建設業許可の種類としては、内装仕上工事業の許可でいいのでしょうか?
回答
「熱絶縁工事」が必要です。

ウレタンはシックハウスの原因となるホルムアルデヒドを含まない断熱材です。
このウレタンを利用した発砲ウレタン吹き付け工事の主たる目的は、建築物の断熱性と気密性を同時に高めることに有ります。
上記工事内容に最も合致する専門業種は「熱絶縁工事」となります。

もちろん、発泡ウレタン吹付け工事が請負代金500万円未満であれば、建設業許可は不要です。

 

事例4
内装仕上工事業の建設業許可を持っています。
請負代金総額2,000万円の内装工事を請け負いました。

質問1
そのうち600万円相当の電気工事を下請け電気工事登録業者(電気工事の建設業許可有)に発注する事は建設業法違反になりますか?

質問2
また、電気工事業登録をしていない当方が電気工事を請け負っていることになり、電気工事業の業務の適正化に関する法律(以下「電気工事業法」)違反しないのでしょうか?
回答

600万円相当の電気工事を請負った点(質問1への回答)

原則として、請負代金500万円以上の専門外工事請負うことは建設業法違反です

 

ただし、上記工事が内装工事完成のために必要な関連性一体性のある電気工事であれば、「附帯工事」として請負うことが可能です。

電気工事が「附帯工事」であれば、御社が当該工事を請負うことは建設業法に違反しません。

 

電気工事を下請に出している点(質問1への回答)

一括下請負になっていなければ、建設業法に違反しません。

 

電気工事業登録をしていない事業者が電気工事を請け負った点(質問2への回答)

電気工事業法上の登録をしなければならない電気工事事業者とは「電気工事業を営もうとする者」です。


「電気工事業を営もうとする者」とは、一般用電気工作物又は自家用電気工作物を設置し、又は変更する工事を反復・継続して行う事業を行う者をいいます。

 

御社が普段から電気工事を施工しているのであれば、「電気工事業法」に違反します。
 普段から電気工事を施工しているのであれば、御社は「電気工事業を営もうとする者」だからです。

 

御社が、電気工事は下請に出しているのであれば「電気工事業業法」に違反しません。

 

事例5
内装業者です(建設業許可無)。
見積金額400万円ですが、材料費は発注者負担です。
材料費だけでも300万円はかかります。
合計700万円ですが、建設業法に違反していますか?
回答
違反します。
建設業法上の請負代金とは、発注者が材料を提供する場合は、その価格や運賃を請負金額に加えた額を言います。
本件の請負代金は700万円となります。
建設業無許可業者は請負代金500万円以上の工事を請け負えませんので、本件では建設業法違反となります。

根拠条文

建設業法施行令第1条の2 第3項

注文者が材料を提供する場合においては、その市場価格又は市場価格及び運送賃を当該請負契約の請負代金の額に加えたものを第一項の請負代金の額とする。

 

事例6
内装リフォーム工事につき、アスベスト除去作業が必要となります。
当方、内装仕上工事業の建設業許可がありますが、施行上、他に許可や届出、資格が必要ですか?
回答1 建設業許可について
請負代金500万円未満のアスベスト除去業務であれば建設業許可は不要です。
請負代金500万円以上のアスベスト除去業務に必要な建設業許可次の4業種です。
  • 建築工事業
  • とび・土工工事業
  • 塗装工事業
  • 内装仕上工事業
回答2 施工上の届出など
石綿処理作業レベル1及び2については、作業を開始する前に以下の書類の提出が義務付けられています。
作業レベル3については届出は不要です。
届出書類 提出先
工事計画書 (レベル1のみ) 14日前までに所轄労働基準監督署長宛に提出
特定粉じん排出等作業届出書 14日前までに都道府県知事宛に提出
建築物解体等作業届出書 作業前に所轄労働基準監督署長宛に提出
※作業レベルとは?
アスベスト処理工事は作業の危険度に応じ、危険性の高いほうから順に作業レベル1、2、3 に分けられています。
作業レベル 作業内容
著しく発じん量が多い作業で、作業場所の隔離や高濃度の粉じん量に対応した防じんマスク、保護衣を適切に使用するなど、厳重なばく露防止対策が必要なレベル
比重が低く、発じんしやすい製品の除去作業であり、レベル1 に準じて高いばく露防止対策が必要なレベル
発じん性が比較的低い作業で、破砕、切断等の作業においては発じんを伴うため、湿式作業を原則とし、発じんレベルに応じた防じんマスクを必要とするレベル
回答3 必要な資格
➀現場に最低1名、石綿作業主任者(石綿作業主任者技能講習修了者)を選任しなければいけません。
➁作業者は、石綿特別教育を受講しなければいけません。
石綿特別教育を受講した作業者は、石綿作業主任者の指揮監督のもとで作業を行う必要があります。

 

内装仕上げ工事と付帯工事(附帯工事)

付帯工事(附帯工事)とは?

主たる建設工事に附帯する他の建設業に係る建設工事のことを付帯工事(附帯工事)といいます。

内装仕上工事を施工するにあたり、他の建設業の工事と関連のある工事をしないと内装工事が完成しない場合が多いと思います。

建設業法は、許可を受けた建設業許可と関連性がある他の建設業の工事を請負うことが出来る、としています。

根拠条文

建設業法第4条
建設業者は、許可を受けた建設業に係る建設工事を請け負う場合においては、当該建設工事に附帯する他の建設業に係る建設工事を請け負うことができる。

 

付帯工事(附帯工事)の例

➀主たる建設工事を施工するために必要を生じた他の従たる建設工事

例えば…

 管工事施工に伴って必要を生じた熱絶縁工事

 屋根工事施工に伴って必要を生じた屋根瓦の塗装工事など


➁主たる建設工事の施工により必要を生じた他の従たる建設工事であって、それ自体が独立の使用目的に供されるものではないもの

例えば…

 建築物の改修等の場合の電気工事の施工に伴って必要を生じた内装仕上工事

 建具工事の施工に伴って必要を生じたコンクリート工事、左官工事等

 

請負うことができるだけ、という点に注意

請負うことはできても、施工については必要な許可を有する業者に発注するのが原則です(軽微な工事を除く)。

 

ただし、自社にその工事に必要な専門技術者がいる場合は自社施工も可能です。

専門技術者とは、建設業法上、専任技術者又は主任技術者となりうる者を言います。

 

付帯工事(附帯工事)として請負うことができる工事の限界

建設業許可業者は、主たる建設工事にかかるすべての附帯工事を請負える訳では有りません。

附帯工事として請負うことができるか否かの判断に当たっては、

➀建設工事の注文者の利便

➁建設工事の請負契約の慣行等

上記を基準とし、当該建設工事の準備、実施、仕上げ等に当たり一連又は一体の工事として施工することが必要又は相当と認められるか否かを総合的に検討します

 

一般的な制限事項としては、次のようなものがあります。

原則として、主たる工事の工事価格を上回らない

一式工事については他の工事の附帯工事にはなり得ない

・一般許可の場合、発注者から直接請負った1件の建設工事で3,000万円以上(建築一式工事の場合は4,500万円以上)の下請契約を必要とする附帯工事はできない(特定許可が必要だから)。

 

具体例から考えよう!内装仕上工事と付帯工事(附帯工事)

事例1
当方は内装仕上工事業の建設業許可を受けています。
内装工事を請負代金1200万円で受注した工事の内訳に、600万円の電気工事が含まれる場合、電気工事業の許可が必要ですか?
➀請負った点
内装工事が600万円以下の場合は、電気工事を「附帯工事」として請負うことは難しいと考えます。
同額の場合は、判断が難しいところです。
ただし、電気工事の工事内容が内装工事と関連性が高く一体的な工事であれば、「附帯工事」として請負うことは可能と考えます。
➁施工について
内装仕上工事の建設業許可では請負代金600万円の電気工事を施工することはできません
解決方法は以下の二通りです
㋐ 電気工事業の建設業許可をもつ事業者に外注する
㋑ 専門技術者を立てて自社施工する

事例2
内装仕上工事業者(建設業許可有)です。
当社元請けとなり、請負代金3,500万円の内装工事のお話があります。
工事内容に造園工事が含まれている場合、下請業者が造園工事業許可を持っていれば、当社元請け工事業社として受注は可能でしょうか?
回答
① 内装仕上工事の請負代金より造園工事の請負代金が下回っていること

② 造園工事が内装工事現場と同一、又は同一敷地内であること

上記①②の要件を満たすのであれば、「附帯工事」として受注は可能と考えます

ただし上記の場合でも、造園工事が内装工事と全く関連性のない独立した工事内容であれば「附帯工事」とは言えないので注意を要します。

 

事例3
当方は内装仕上工事の一般建設業の許可を保有しています。
元請から請負代金合計8,000万円の内装工事を受注しようとしています。
工事の内訳は、内装仕上工事3,000万円、電気設備工事2,500万円、空調設備工事2,500万円です。
電気設備と空調設備はそれぞれの工事内容について建設業の許可を持っている業者に再下請けします。
この場合でも、電気設備、空調設備は内装仕上工事の附帯工事として請負うことができるのでしょうか?
主たる内装仕上工事と各工事が附帯工事といえるのか否か、個別に検討する必要が有ります
➀ 御社は一次下請けですので特定建設業許可は不要です。
➁ 次に主たる内装仕上工事と各工事の請負代金も、それぞれ主たる工事が各工事の請負代金を上回っているので問題無いと考えます。
➂ 工事内容ですが、電気設備工事や空調設備工事が、主たる内装仕上工事とどのような関連性を有するのか、具体的に検討する必要があります。

内装仕上工事のために必要な、関連性一体性の強い工事であると言えること。
その他、取引慣行や注文者の利便上、御社のみで請負うことが適切であると言いうるのであれば、附帯工事として請負うことができると考えます。

 

まとめ

内装工事について、普段現場で気になっているであろうポイントをピックアップして解説いたしました。

他の工事との関連性が大き業種だけに、最低限の建設業法の知識を持って業務に臨まれることをお勧めします。

 

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2016年08月19日